例えば前歯1本補綴物が必要になった患者さん。私たち歯科技工に「シンメトリー(左右対称)な形や色でキレイにしたい」と希望を訴える方が多くいらっしゃいます。もちろんできるだけご希望に応じた補綴物を製作するのですが…。なぜ多くの方がシンメトリーの歯を求めるのだろうか?と私は少し疑問に思うのです。
①人工物のシンメトリー
西洋の建築物は古代ギリシャから長年「シンメトリーが美しい」とされ、現代の西洋美術にも受け継がれています。シンメトリーの建築物として最も有名なのがヴェルサイユ宮殿。建物の正面から庭、通路に至るまであらゆるデザインにおいて一寸の狂いもなくバランスの取れたシンメトリーで圧巻です。
ベルサイユ宮殿の美しさは、人間の手で作り出されたその時代の権力を象徴しています。鳥肌が立つくらいパーフェクトなシンメトリーな仕上がりだからこそ感動を覚えるのでしょう。
では、自然界のもので完全なシンメトリーはあるでしょうか?
ベルサイユ宮殿の美しさは、人間の手で作り出されたその時代の権力を象徴しています。鳥肌が立つくらいパーフェクトなシンメトリーな仕上がりだからこそ感動を覚えるのでしょう。
では、自然界のもので完全なシンメトリーはあるでしょうか?
②自然物のシンメトリー
例えば富士山がもしも完全なるシンメトリーだとしたら人はどう感じるでしょう?
ここに2枚の富士山の写真を載せました。どう感じますか?左は通常撮影されたもの、右はシンメトリーに編集しているものです。右の富士山にはどこか「違和感」を感じませんか?
自然界には完全なるシンメトリーは存在しないので、シンメトリーに手を加えると人の目に映った時に「違和感」になることがあります。
では、人間の顔はどうでしょうか?
ここに2枚の富士山の写真を載せました。どう感じますか?左は通常撮影されたもの、右はシンメトリーに編集しているものです。右の富士山にはどこか「違和感」を感じませんか?
自然界には完全なるシンメトリーは存在しないので、シンメトリーに手を加えると人の目に映った時に「違和感」になることがあります。
では、人間の顔はどうでしょうか?
③人の顔はシンメトリーなのか?
2枚は同じ人の顔写真です。どう感じるでしょうか?
これも右の写真はシンメトリーに編集しています。まるで別人のように印象が異なりますよね。左のオリジナルの写真の顔は自然ですがやはり右側の顔には違和感があります。
目も耳も、眉も。同じように見える二つのパーツも決して完全なるシンメトリーではありません。それを無理にシンメトリーを求めればどこかに「違和感」が生じるのです。
これも右の写真はシンメトリーに編集しています。まるで別人のように印象が異なりますよね。左のオリジナルの写真の顔は自然ですがやはり右側の顔には違和感があります。
目も耳も、眉も。同じように見える二つのパーツも決して完全なるシンメトリーではありません。それを無理にシンメトリーを求めればどこかに「違和感」が生じるのです。
④補綴物において人工的な歯とナチュラルな美しい歯は別もの
それでは本題の歯についてです。
例えば歯の並びが不揃い(叢生・歯列不正)の場合には、生理学的に歯を並べるための矯正治療があります。これは健康な噛み合わせと美しい口元を得るためにも必要な治療です。
しかしここで私が言っているのは歯の色や形です。左右で対象にすることを望む方が多いので、それが本当に「美」なのか?と考えてみたいのです。
そもそも人間の生まれ持った天然の歯はシンメトリーなのでしょうか?天然の歯をお持ちの方はぜひじっくり鏡で見てみてください。
前述した通り自然界に完全なるシンメトリーなものは存在しません。人の身体のパーツも然りです。歯に関しても、色も形もあまりにも揃いすぎたシンメトリーでは「人工的な作り物」に見えて、やはりどこかに違和感を感じることがあります。
患者さんの中には、歯を作り替えた事を周りの人に気づいてもらいたいと考える方もいます。野球選手で明らかに人工的につくられたことが分かる真っ白な補綴物を入れている人もいますね。それはその人の価値観なので否定するつもりはありません。
しかし「キレイな歯」とは決してシンメトリーで揃ったものだけをいうのではないということを覚えておいていただけたらと思います。
あなたは補綴物に、人工的な美しさとナチュラルな美しさ、どちらを望みますか?
例えば歯の並びが不揃い(叢生・歯列不正)の場合には、生理学的に歯を並べるための矯正治療があります。これは健康な噛み合わせと美しい口元を得るためにも必要な治療です。
しかしここで私が言っているのは歯の色や形です。左右で対象にすることを望む方が多いので、それが本当に「美」なのか?と考えてみたいのです。
そもそも人間の生まれ持った天然の歯はシンメトリーなのでしょうか?天然の歯をお持ちの方はぜひじっくり鏡で見てみてください。
前述した通り自然界に完全なるシンメトリーなものは存在しません。人の身体のパーツも然りです。歯に関しても、色も形もあまりにも揃いすぎたシンメトリーでは「人工的な作り物」に見えて、やはりどこかに違和感を感じることがあります。
患者さんの中には、歯を作り替えた事を周りの人に気づいてもらいたいと考える方もいます。野球選手で明らかに人工的につくられたことが分かる真っ白な補綴物を入れている人もいますね。それはその人の価値観なので否定するつもりはありません。
しかし「キレイな歯」とは決してシンメトリーで揃ったものだけをいうのではないということを覚えておいていただけたらと思います。
あなたは補綴物に、人工的な美しさとナチュラルな美しさ、どちらを望みますか?