「歯磨きの時間は長い方が良い」「歯磨きの回数は多い方が良い」と信じて努力しているのに、それでも歯の悩みが尽きない…というご相談、とても多いです。もしも、あなたの日々の歯磨きの努力が実は空回りだったとしたら…?
お忙しいあなたの大切な時間を無駄にせず成果に繋がる歯の守り方を知ってほしい。今回はシュルッセルのご相談時にお伝えする歯を守る2つのポイントのうち〔細菌のコントロール〕について歯科衛生士の岡部茜からお届けします。
「聞いたことありそうな内容だから今回はスルーでいいかな!?」って? いいえ、きっと聞いたことはないはずです。ぜひ読み進めてください。
①あなたの歯磨き、時間と努力の無駄遣いかも?
毎日の歯磨きは常識になっている日本人。あなたは1日に何回、何分間歯ブラシを口の中に入れていますか?
歯を大切に考えている人ほど、回数や時間をかけている傾向があるようです。ところが「歯磨きしていてもまたすぐに虫歯になる」と悩みが尽きない…。悩んだ結果、行き着いた先の結論は ”私は歯が弱い体質” と諦めている人もいます。
果たして本当にお口のトラブルの原因は “弱い歯の体質” なのでしょうか?
・
以前、シュルッセルにご相談に来られた女性で、過去に通っていた歯科医院で紹介された歯ブラシ、歯間ブラシ、歯磨き粉やマウスウォッシュなど、あらゆる道具を使って毎日の歯磨きを頑張っている方がいました。子供の頃から虫歯経験も多いので、1日3回、1回に10分以上かけて磨いていたそうです。それでも年々歯が悪くなる…。そんな時にシュルッセルの歯科相談に来られました。その時点でグラグラしている歯もあり、とてもとても悩まれていました。
この方に歯磨きの目的を伺ってみました。すると「食べかすを取り除くため」と回答されました。日々の努力が報われないのはここにも原因があると私は感じました。
歯を大切に考えている人ほど、回数や時間をかけている傾向があるようです。ところが「歯磨きしていてもまたすぐに虫歯になる」と悩みが尽きない…。悩んだ結果、行き着いた先の結論は ”私は歯が弱い体質” と諦めている人もいます。
果たして本当にお口のトラブルの原因は “弱い歯の体質” なのでしょうか?
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以前、シュルッセルにご相談に来られた女性で、過去に通っていた歯科医院で紹介された歯ブラシ、歯間ブラシ、歯磨き粉やマウスウォッシュなど、あらゆる道具を使って毎日の歯磨きを頑張っている方がいました。子供の頃から虫歯経験も多いので、1日3回、1回に10分以上かけて磨いていたそうです。それでも年々歯が悪くなる…。そんな時にシュルッセルの歯科相談に来られました。その時点でグラグラしている歯もあり、とてもとても悩まれていました。
この方に歯磨きの目的を伺ってみました。すると「食べかすを取り除くため」と回答されました。日々の努力が報われないのはここにも原因があると私は感じました。
歯磨きでは歯は守れない
ご相談者さまの許可を得て掲載しますが、その女性の実際の写真がこちらです。銀色の被せ物の周囲の歯茎が赤くなっているのは分かりますか?歯周病になっています。
そしてよく見ていただきたいのが被せ物と歯茎の境。白く付着しているものもあります。これは細菌です。日頃あらゆる道具を使ってケアをしていたにも関わらず細菌が歯の周囲に残っている。それもこの方の歯の悩みが解決されない理由のひとつだと感じました。
・
シュルッセルの歯科相談にお越しいただいた方に必ずお伝えしているのは、歯を守るために大切なのは2点。そのひとつが〔細菌のコントロール〕です。
この女性のように、歯磨きで取り除いている白い塊を「食べかす」や「汚れ」と表現する人がいますが、これは生きた細菌です。
歯を磨くのではなく細菌を取り除くための〔細菌のコントロール〕ができていなければ歯磨きをしている時間は「全て無駄」と言っても過言ではありません。
お口の中の細菌は顕微鏡を使わなければその存在は確認できないのでイメージが湧きにくいですが、細菌は口の中で立派に生きていて、日々増殖を続けています。この生きた細菌を日々取り除くことが〔細菌のコントロール〕なのです。
ある男性にそのような話をすると「自分は全部被せ物をした歯だから細菌はいない」とおっしゃいました。私は衝撃でした。治療をすれば細菌はいなくなると認識していたようなのです。それは間違いです。被せ物と歯茎の境目には付着するし、細菌は歯茎の中に入り込むこともできます。
ましてや全ての歯に被せ物が入っている程、過去に虫歯や歯周病を経験しているということは、お口の中の細菌が悪さをした結果なので自分の口の中には細菌がたくさんいると認識して、ていねいにかつ、〔 “本当の” 細菌のコントロール〕に取り組む必要があるのです。
そしてよく見ていただきたいのが被せ物と歯茎の境。白く付着しているものもあります。これは細菌です。日頃あらゆる道具を使ってケアをしていたにも関わらず細菌が歯の周囲に残っている。それもこの方の歯の悩みが解決されない理由のひとつだと感じました。
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シュルッセルの歯科相談にお越しいただいた方に必ずお伝えしているのは、歯を守るために大切なのは2点。そのひとつが〔細菌のコントロール〕です。
この女性のように、歯磨きで取り除いている白い塊を「食べかす」や「汚れ」と表現する人がいますが、これは生きた細菌です。
歯を磨くのではなく細菌を取り除くための〔細菌のコントロール〕ができていなければ歯磨きをしている時間は「全て無駄」と言っても過言ではありません。
お口の中の細菌は顕微鏡を使わなければその存在は確認できないのでイメージが湧きにくいですが、細菌は口の中で立派に生きていて、日々増殖を続けています。この生きた細菌を日々取り除くことが〔細菌のコントロール〕なのです。
ある男性にそのような話をすると「自分は全部被せ物をした歯だから細菌はいない」とおっしゃいました。私は衝撃でした。治療をすれば細菌はいなくなると認識していたようなのです。それは間違いです。被せ物と歯茎の境目には付着するし、細菌は歯茎の中に入り込むこともできます。
ましてや全ての歯に被せ物が入っている程、過去に虫歯や歯周病を経験しているということは、お口の中の細菌が悪さをした結果なので自分の口の中には細菌がたくさんいると認識して、ていねいにかつ、〔 “本当の” 細菌のコントロール〕に取り組む必要があるのです。
②聞き飽きた歯磨き指導
子供の頃から数えれば「歯磨きの指導」を何度か受けた経験があると思います。思い出してみてください。どのように習いましたか?
このようなイラストや模型をつかって、汚れが残りやすいところの説明を聞いたり、歯ブラシの角度について実際に練習したり、しましたよね?「はい、知っています。分かっているけど、うまくできません…」もしくは「またこの話かぁ…」と感じつつ歯科衛生士の話を上の空で聞いているという方、いらっしゃるはずです。
そのお気持ち、私にも分かります。家に帰るとすっかり忘れていたり、やってみてもやっぱり虫歯になるから嫌になってしまったり…。そんな人もいるかもしれません。
実はこの歯磨きの指導法、私が歯科衛生士になった20年程前は当たり前に患者さんに伝えているものでした。私の義母も先日まで現役の歯科衛生士をしていたので聞いてみると、40年近く前から同じ。それだけ古くから日本の歯科医療従事者は疑うことなく同じことを伝え続けてきました。
来院する患者さんに毎日毎日同じことを言い続けてきた私。今思えばとても罪だったと思います。そしてあの時の患者さんたち、もしかすると今はもうすっかり歯を失っているかもしれません。(なんて無責任な衛生士なのでしょう…ごめんなさい)
このようなイラストや模型をつかって、汚れが残りやすいところの説明を聞いたり、歯ブラシの角度について実際に練習したり、しましたよね?「はい、知っています。分かっているけど、うまくできません…」もしくは「またこの話かぁ…」と感じつつ歯科衛生士の話を上の空で聞いているという方、いらっしゃるはずです。
そのお気持ち、私にも分かります。家に帰るとすっかり忘れていたり、やってみてもやっぱり虫歯になるから嫌になってしまったり…。そんな人もいるかもしれません。
実はこの歯磨きの指導法、私が歯科衛生士になった20年程前は当たり前に患者さんに伝えているものでした。私の義母も先日まで現役の歯科衛生士をしていたので聞いてみると、40年近く前から同じ。それだけ古くから日本の歯科医療従事者は疑うことなく同じことを伝え続けてきました。
来院する患者さんに毎日毎日同じことを言い続けてきた私。今思えばとても罪だったと思います。そしてあの時の患者さんたち、もしかすると今はもうすっかり歯を失っているかもしれません。(なんて無責任な衛生士なのでしょう…ごめんなさい)
歯科衛生士が信じて疑わない磨き方
私が新人衛生士だった24年前、ほぼ全ての患者さんに伝えていたのは、“歯ブラシの毛先を歯茎方向に45度傾けて磨く” という方法です。聞いたことはありませんか?
「バス法」です。
1900年代初頭にアメリカの病理学者、チャールズ・C・バス先生が考案されたもので、先生の名前をとって「バス法」と呼びます。
細菌が着きやすい歯と歯茎の境目に毛先を向けて磨くこの方法は、理にかなっているし、とても素晴らしい方法として日本でも広く伝わり、歯科衛生士学校の教科書にも掲載されています。私はこの方法で「毎食後3分以内に3分間、1日3回磨きましょう!」と、何も疑うことなく、伝えていました。
きっと私だけではないはず。読者のみなさんの中にも、この方法を歯科衛生士から教わったという方、きっと多いはずですから。
・
私は今から15年ほど前にバス法について調べてみました。なぜここまでバス法が広まったのか、ふと疑問に思ったからです。すると古い書籍がみつかりました。
・
病理学者だったバス先生、退職してからその後の人生は「多くの人々が悩んでいる口腔の疾患にまつわる研究」に費やそうと決意したそうなんです。そして、その研究で先生が世の中に伝えたかったのは次の内容でした。
「バス法」です。
1900年代初頭にアメリカの病理学者、チャールズ・C・バス先生が考案されたもので、先生の名前をとって「バス法」と呼びます。
細菌が着きやすい歯と歯茎の境目に毛先を向けて磨くこの方法は、理にかなっているし、とても素晴らしい方法として日本でも広く伝わり、歯科衛生士学校の教科書にも掲載されています。私はこの方法で「毎食後3分以内に3分間、1日3回磨きましょう!」と、何も疑うことなく、伝えていました。
きっと私だけではないはず。読者のみなさんの中にも、この方法を歯科衛生士から教わったという方、きっと多いはずですから。
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私は今から15年ほど前にバス法について調べてみました。なぜここまでバス法が広まったのか、ふと疑問に思ったからです。すると古い書籍がみつかりました。
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病理学者だったバス先生、退職してからその後の人生は「多くの人々が悩んでいる口腔の疾患にまつわる研究」に費やそうと決意したそうなんです。そして、その研究で先生が世の中に伝えたかったのは次の内容でした。
バス法のバス先生が本当に伝えたかったこと
要約すると、これが最大のメッセージでした。どうでしょう?
私はとても衝撃でした。歯磨きとは、歯ブラシを使うことがメインだと思っていたのにバス先生は「フロスが基本」だとはっきり言っていたのです。それなのになぜバス法という “歯ブラシを使う方法” ばかりが一人歩きしてしまったのだろう?なぜ日本ではフロスを「補助用具」と呼ぶのだろう?
これこそが歯を失う悲しい人を増やす大きな原因だと痛感しました。
さらに歯科医院に勤務している歯科衛生士の話をたくさん聴きました。なぜフロスの必要性や使い方を伝えないの?と。その答えの多くは
・難しくて患者さんにはできないから
・フロスは面倒で続けられないから
・そもそも忙しくて指導する時間を作れないから
などでした。
それらの声を聞いて確信しました。バス先生の思いのバトンを受け継ぐ人が必要なんじゃないか?と。そこで前職で私はフロスの必要性を広めるための啓蒙をおこなってきました。
私はとても衝撃でした。歯磨きとは、歯ブラシを使うことがメインだと思っていたのにバス先生は「フロスが基本」だとはっきり言っていたのです。それなのになぜバス法という “歯ブラシを使う方法” ばかりが一人歩きしてしまったのだろう?なぜ日本ではフロスを「補助用具」と呼ぶのだろう?
これこそが歯を失う悲しい人を増やす大きな原因だと痛感しました。
さらに歯科医院に勤務している歯科衛生士の話をたくさん聴きました。なぜフロスの必要性や使い方を伝えないの?と。その答えの多くは
・難しくて患者さんにはできないから
・フロスは面倒で続けられないから
・そもそも忙しくて指導する時間を作れないから
などでした。
それらの声を聞いて確信しました。バス先生の思いのバトンを受け継ぐ人が必要なんじゃないか?と。そこで前職で私はフロスの必要性を広めるための啓蒙をおこなってきました。
③基本の道具はデンタルフロス
前述の通り、〔細菌のコントロール〕に不可欠なのはデンタルフロスです。
使っていますか?使い方を歯科衛生士から的確に教わったことはありますか?フロスを通した後の気持ちよさ、日々感じていますか?
令和4年の歯科疾患実態調査によると、「デンタルフロスや歯間ブラシを用いた歯と歯の間の清掃を行っている者」は全体で50.9%だそうです。2人にひとり??と誤解してしまいそうですが…。ここでは「デンタルフロスや歯間ブラシ」と記載されています。
デンタルフロスと歯間ブラシは別ものです。それについて私自身が実験した写真を使って解説します。
使っていますか?使い方を歯科衛生士から的確に教わったことはありますか?フロスを通した後の気持ちよさ、日々感じていますか?
令和4年の歯科疾患実態調査によると、「デンタルフロスや歯間ブラシを用いた歯と歯の間の清掃を行っている者」は全体で50.9%だそうです。2人にひとり??と誤解してしまいそうですが…。ここでは「デンタルフロスや歯間ブラシ」と記載されています。
デンタルフロスと歯間ブラシは別ものです。それについて私自身が実験した写真を使って解説します。
細菌と歯ブラシの関係
細菌が着きやすい場所は傾向があります。
歯と歯茎との境
歯と歯の間
歯茎の中
ここに細菌に見立てた赤い人工プラークを塗りつけ、歯ブラシを当てているところです。
歯と歯茎との境
歯と歯の間
歯茎の中
ここに細菌に見立てた赤い人工プラークを塗りつけ、歯ブラシを当てているところです。
歯ブラシが当たるところ
歯ブラシの毛先が当たるのは視覚で確認できる部分。とてもキレイに取り除けています。
歯茎の中の細菌
模型の歯を少し上に持ち上げた状態がこちらです。
歯茎の中に隠れた細菌はまだ残っていることがわかりますね。さらに歯と歯の間はどうでしょう?
歯茎の中に隠れた細菌はまだ残っていることがわかりますね。さらに歯と歯の間はどうでしょう?
歯と歯の間の面
歯と歯の間の面が見えるように回転させた状態です。ここは「隣接面」と言い、とても広い面が存在します。視覚では確認できなかった部分です。たっぷり細菌が残っています。
細菌と歯間ブラシ
さて、ここからが注目です。歯を模型に戻し、歯間ブラシを当ててみますね
歯間ブラシでは取り除けない
この状態、覚えておいてください。
歯間ブラシが通った部分は取り除けていますがまだ細菌はたくさん付着しています。歯間ブラシは “歯と歯の間” に着いた細菌を取り除く道具です。
歯間ブラシが通った部分は取り除けていますがまだ細菌はたくさん付着しています。歯間ブラシは “歯と歯の間” に着いた細菌を取り除く道具です。
細菌とフロス
では最後にデンタルフロスを通してみます。
細菌はフロスには敵わない
適切に使用すればデンタルフロスでここまでキレイに取り除くことができました。ポイントは “面” です。歯と歯の間ではなく、歯1本1本に存在するこの部分を “隣接面” というのですが、ここに届く道具はデンタルフロスだけなのです。
もっというと、歯周病菌については空気が苦手です。そのため空気が届かない歯茎の中に入り込みます。そこまで道具を入れ擦り取るのもフロスにしかできません。
模型で歯の観察をしたり、細菌の特徴を知ると、バス先生が言っている「フロスが基本的な道具」という意味が理解できます。歯を守るための〔細菌のコントロール〕には、デンタルフロスが必要不可欠。そして歯ブラシはそれに付随する仕事。
お分かりいただけたでしょうか?
もっというと、歯周病菌については空気が苦手です。そのため空気が届かない歯茎の中に入り込みます。そこまで道具を入れ擦り取るのもフロスにしかできません。
模型で歯の観察をしたり、細菌の特徴を知ると、バス先生が言っている「フロスが基本的な道具」という意味が理解できます。歯を守るための〔細菌のコントロール〕には、デンタルフロスが必要不可欠。そして歯ブラシはそれに付随する仕事。
お分かりいただけたでしょうか?
④頻度は2日に一度
最後に〔細菌のコントロール〕の頻度について触れておきます。私は最低でも2日に一度、行うことをおすすめします。根拠もあります。それは “細菌は3日で増殖するから” です。
歯科医院で機械を使った歯のクリーニングを受けたことがある人は多いでしょう。歯の表面は舌で触るとツルツルになり気持ちが良いものですよね。ではその後、一切歯磨きをしなかったとしたら、細菌は何日で・どのように再び歯に着き始めると思いますか?
・
1960年代、歯学部の学生の実際の口腔内を使った研究があります。現代では人道的に行うことができない貴重な研究です。
結論を言うと、クリーニング後、細菌が着き始めるのはクリーニング直後からでした。その後2日を過ぎたあたりから細菌の種類や数は増えはじめ、3日を過ぎるとその数は一気に増殖していったのです。そして3週間以内に全ての被験者の歯茎は赤く腫れ、歯肉炎が起こったそうです。
この研究からわかるのは、虫歯や歯周病を予防するための〔細菌のコントロール〕は最低でも2日に1度程度行う必要があるということです。増殖した細菌が分厚い塊になると、自分の努力だけで取り除くのはとても難しくなるからです。
フロスを使った〔細菌のコントロール〕を習慣にできれば、日頃の歯磨きの回数や時間に労力をかける必要はありません。無駄な時間や負担が軽減でき、しかも効果的に虫歯や歯周病を予防できるのです。
・
ただ1点、ここで注意したいのは食生活とのバランスです。根拠として挙げたこの研究は1960年代に行われているので現代とは食事内容や生活環境は異なるため少し注意が必要と私は考えます。日頃から間食の回数や食事の内容にも意識している人なら2日に一度でOK。しかし、食生活に自信が無い人については1日1回の〔細菌コントロール〕を行うと安心でしょう。
歯科医院で機械を使った歯のクリーニングを受けたことがある人は多いでしょう。歯の表面は舌で触るとツルツルになり気持ちが良いものですよね。ではその後、一切歯磨きをしなかったとしたら、細菌は何日で・どのように再び歯に着き始めると思いますか?
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1960年代、歯学部の学生の実際の口腔内を使った研究があります。現代では人道的に行うことができない貴重な研究です。
結論を言うと、クリーニング後、細菌が着き始めるのはクリーニング直後からでした。その後2日を過ぎたあたりから細菌の種類や数は増えはじめ、3日を過ぎるとその数は一気に増殖していったのです。そして3週間以内に全ての被験者の歯茎は赤く腫れ、歯肉炎が起こったそうです。
この研究からわかるのは、虫歯や歯周病を予防するための〔細菌のコントロール〕は最低でも2日に1度程度行う必要があるということです。増殖した細菌が分厚い塊になると、自分の努力だけで取り除くのはとても難しくなるからです。
フロスを使った〔細菌のコントロール〕を習慣にできれば、日頃の歯磨きの回数や時間に労力をかける必要はありません。無駄な時間や負担が軽減でき、しかも効果的に虫歯や歯周病を予防できるのです。
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ただ1点、ここで注意したいのは食生活とのバランスです。根拠として挙げたこの研究は1960年代に行われているので現代とは食事内容や生活環境は異なるため少し注意が必要と私は考えます。日頃から間食の回数や食事の内容にも意識している人なら2日に一度でOK。しかし、食生活に自信が無い人については1日1回の〔細菌コントロール〕を行うと安心でしょう。
⑤歯科衛生士に相談する時のアドバイス
冒頭でご紹介したご相談に来られた女性ですが、必要な箇所の治療を受け、その後はフロスを用いた〔細菌のコントロール〕を取り入れました。治療終了からもう何年も経過していますが、とても綺麗にケアをされています。フロスの使い方については何度も担当の歯科衛生士から丁寧にポイントを教わり習得されたそうです。
読者の皆さまにも、今日から〔細菌のコントロール〕を始めよう!と感じていただければ嬉しいですが、フロスは種類の選択や適切な使い方が重要なので、かかりつけの歯科医院で歯科衛生士から直接使い方の説明を聞いてから取り組んでいただきたいと思います。
持ち方など基本を知ってコツを覚えれば誰でもできます。私が知っている限りでは幼児の女の子も上手に使いこなせます。体が大きく指が太い男性も、80代・90代からでも誰にでもできます。習得して歯で悩む人生を抜け出したい意志さえあれば!
歯科衛生士から教わる際には「使い方を教えてください」と言うだけでなく、「細菌をしっかりコントロールできる使い方を、私が使えるようになるまで教えてください」と相談すると良いでしょう。
あなたの健康を大切に考えてくれている歯科衛生士であれば、親身になって教えてくれるはずです。
読者の皆さまにも、今日から〔細菌のコントロール〕を始めよう!と感じていただければ嬉しいですが、フロスは種類の選択や適切な使い方が重要なので、かかりつけの歯科医院で歯科衛生士から直接使い方の説明を聞いてから取り組んでいただきたいと思います。
持ち方など基本を知ってコツを覚えれば誰でもできます。私が知っている限りでは幼児の女の子も上手に使いこなせます。体が大きく指が太い男性も、80代・90代からでも誰にでもできます。習得して歯で悩む人生を抜け出したい意志さえあれば!
歯科衛生士から教わる際には「使い方を教えてください」と言うだけでなく、「細菌をしっかりコントロールできる使い方を、私が使えるようになるまで教えてください」と相談すると良いでしょう。
あなたの健康を大切に考えてくれている歯科衛生士であれば、親身になって教えてくれるはずです。